朝子
 久しぶりにかつての親しい同僚に会ったのだから、当然の流れだろう。

 それがどう離婚と結び付くのか分からず、私は姉の話の続きを待った。

 しかし、その前に突如として通話は断ち切られることとなった。

『お前、朝子……!!!』

『ぁっ………』

 切れる寸前、雑音混じりに聞こえたのは、怒気を孕んだ男の声と、短い悲鳴。

「姉さん、姉さん!?」

 思わず叫ぶように呼び掛けていたが、受話器からは、ツーツーという無機質な音がするだけだった。
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