シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「せり、鏡は落とすなよ。鏡で身体を守れ」


そう言うと、久遠は飛び跳ね、木から木へと移動をした。

後にした木は音をたてて下に雪崩れ落ちていく。


軽やかで迅速な久遠の移動に、

木々の崩壊の速度は追いつくことなく。


その時。


流れ過ぎそうになった視界の中、

何か"物体"を見つけたんだ。



「久遠、ストップ、ストップ!!!」



あたしは久遠の背中をばんばんと叩いた。


「あった、あたしのバック!!!

玲くんのお薬!!!」


それは上の木の枝に引っかかっていて。

この暗い中、よく見つけたあたし!!!

あたしを褒めて上げたい!!!


「諦めろ。

今、そんなこと言ってられないだろ!!?」


後から、ばさばさと豪快な音がする。


「あそこにあるのよ、次に来たら何処にあるのか判らなくなる。

諦めたくないッッ!!!」


「馬鹿!!! 身を乗り出すな、せりッッ!!!」


「身を乗り出さなきゃ取れないの!!!

高いのよ、ちょっと踏ん張ってて!!!」



あと少し。

もう少しで。


ばさばさばさ。


音は大きくなってくる。


「せり、駄目だ!!!

後にしろッッ!!!」



「もう少しで…!!!」



「せりッッッ!!!」



指先が触れた…その瞬間。



「きゃああああ!!!」


木が激しい揺れに耐えきれず崩れ、あたしはその衝撃に、久遠の肩から滑り落ちた。
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