シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

「あち、あちちち!! 師匠も情け容赦なく燃やすな…って、火事になったら…って、は!!? 神崎…ぐげげげ、首絞めるんじゃないっ!!」


あたしは泣きながら全力疾走をして、由香ちゃんに抱きついた。

首に回した手が強すぎたようで、由香ちゃんが半目になった時、


「せりせり!!! 由香を殺すな!!!」


後ろから久遠に言われて我に返る。


「ゴホ…ゴホホホ。はあ…死ぬかと思った。しかし神崎、何でそんなに泣いて…って・・・師匠!!?」


玲くんも泣いていたんだ。


凛ちゃんに取り縋るようにして。


「うわああああ!!!」


堰を切ったかのように、

玲くんの激しい泣き声が響く。


今までの全ての感情を爆発させたかのように。



両膝を地面について、

両腕で凛ちゃんの腰に抱きつくその様は。



まるで罪深き咎人が――


慈愛に満ちた微笑みを見せて、

両手を広げる聖母マリアに…


懺悔しているようにも見えたんだ。



あまりに綺麗で崇高な光景に、

誰一人声をかけることは出来なかった。



あたしは――

玲くんが救いを求めるその対象が、

あたしではなく凛ちゃんだということに…


凄く心が痛んだ。



そして同時に――


凛ちゃんにそこまで心を見せて

泣くことが出来る玲くんが――


凄く羨ましくなった。
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