シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

久遠の体が、弓なりに仰け反り、

妖麗な顔が苦痛に歪む。


それはまるで映画の一場面のように、

現実味が無い程…美しいもので。


甘美さをも感じさせるもので。


目を奪われた。


そして――


「久遠様!!!?」



久遠は自らの手で背中の剣を引き抜いた。


飛び散る鮮血。

櫂の…あの場面が蘇って。


その赤色が、僕の…僕達の意識を戻した。


久遠が…かなりの怪我を負った事実を認識する。


由香ちゃんの悲鳴。

蓮が倒れた久遠を支えている。


僕は――

乱れるままの心臓を、意思で押さえ込み…

そのまま、回復結界を張る。


僕がそこに入る必要はない。

僕を回復させる時間に、まず久遠を。


久遠の…

久遠の血をまず止めねば!!


「久遠…久遠どうして…!!!?」


由香ちゃんが泣きじゃくる。


「…久遠が死ん「不吉なこと言うな、由香」


それでも発声するのは辛そうで。


どこか…内臓でも損傷したんだろうか。

貫通はしていないから、致死には至らないはずだけれど…これだけ失血していれば、油断できない。


「ごめん、ごめんよ久遠ッッ!!

だけど――…

何で…敵を庇ったんだよッッ!!!」


久遠は、気だるげに言った。


「由香。お前は…機械専門だ。

その手をで染めるな」


そしてその瑠璃の瞳を、

由香ちゃんから――


「……此の地で、悲劇は起させない」


黄色い外套男に…

無表情の仮面男に向けた。



「悲劇を…作るな」


それはまるで言霊のように。
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