シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


結局、僕の手には何も手に入らない。


僕が切り捨てることで守ろうとしてきたもの――。


芹霞の心は僕から離れようとしてる。


僕の罪を知ってしまった櫂は…僕を許さないだろう。

櫂は僕には戻らない。


邪なる僕の想い。

心は自由だからと…僕の想いを許容し続けてくれた優しい櫂の、これは完全なる裏切り。


公正さを欠き、寝首を掻いた卑怯なことをしたんだ。


判っていた。


判っていたから…知られたくなかった。


ハヤクシラレタカッタ。

バッシテモライタカッタ。


苦しかったから…。



櫂、ごめん。



――玲、何があった…?



今更言い訳はする気はないけれど、


――俺を信じろ!!!


後悔…するわけにもいかないんだ。


――芹霞が好きだよ?


ごめん…。

ただひたすら…、僕は謝る事しか出来ないけれど。


ごめん。

櫂、ごめん。


許されないと判っては居るけれど…


ごめん。



憎悪後、櫂は――

僕の存在を排除した。


それは蔑視の類ではなく…

僕の存在をなかったものにしたんだ。


僕の声は…

もう櫂には届かなくて。


僕の存在は…もう櫂には無くて。


そう、それは――

芹霞の中から消えた櫂の存在の如く。


消された者の悲しみがどれ程強いか、僕はどれだけ赦されない罪を犯したか、思い知った。


僕には謝ることしか、出来なくて。


ごめん。

ごめん…。



謝罪も全て――


僕の声は何1つ…

櫂には届かなかった。


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