シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
今、私達の居場所はばらばらで。

それぞれが何をしているかも把握出来ない状況に居て。


だけど思う。


――約束、して欲しいんだ。



心はあの時同様、何処までも1つに繋がっているのだと。


この目映い空のように、同じ世界に存在して拡がり――

そして櫂様という太陽の元、また1つに集まれるのだと。



戻りたい。


楽しかったあの昔に。


戻るんだ。


いつもの…時間に。


そう思っているのは、私だけではないはずだ。


戻さねばならない。


――約束、して欲しいんだ。


櫂様が絶対、戻して下さる。


「自警団の中にも良い人がいるっていうこと判りました。

最近、自警団の"矯正施設"への連行が厳しくなり…皆で震え上がっていたところでした。

特に"青色"は"白色"の上司だから、気をつけろと言われていたんです。

青色に目をつけられれば、情け容赦ないという噂で。

今ではもう、"彼氏"と歩くだけでも"不純異性交遊"として、2人共連行されてしまうんです」


5日前まではそこまでの縛り付けはなかったように思えた。


だとしたらこの5日間で事態は動いたということ。


その間にあったことと言えば。


櫂様。


まさか――?


「どうか感謝の印に受け取って下さい。今日買ったばかりのもので新品で、綺麗ですから」


少女は善意でCDを差し出した。


そのにこやかな顔に、私は拒みきれず…受け取った。


これで、持ち歩きたくないものが2つになってしまったけれど。


Zodiacの方が、氷皇よりマシのような気がするのが不思議だ。


忌々しい青い手紙は救いようがない呪いがかけられているとしても、このCDは…あの学園祭での楽しい思い出を彷彿させるものだと思えば、私の"信念"の1部となりえるような気がしたから。


あの…楽しかった時に、戻りたい。



そして私は――


楽しい時間の再構成に必要な"1人"を捜し求めて、

北新宿に走った。


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