シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
僕の憤りと焦慮の心を知らない芹霞は、いつの間にやら僕の手から半券を奪い取って、スキップで青いテントに向かっていた。


嫌な予感しかしない僕は、慌てて芹霞を追いかける。


ガランガランガラ~ン!!


そして突如鳴る鐘の音。


「おめでとうございま~す!!!

お客様方が当園において――

61921組目にご来園された、

ラッキーなカップルになりま~す」


ガランガランガラ~ン!!


「ラッキーウイザードさん、出番です~」


何処からか青い…三角帽子を被り、上下が一続きの、袖のついたゆったりとした形状の…青い外套(ローブ)を着た2人の男が出てきて、僕達に青い紙吹雪を撒いた。


胸元には『幸せの魔法使い(恋愛専用)☆』とプレート。



「ラッキーなカップルには、特別に"ラッキーラブラブグッズ"をプレゼントしちゃいま~す」


大音量のマイクに、通行人が僕達に振り返る。


「玲くん、何かプレゼントくれるんだって!!!

『幸せを呼んで』くれたね~」


氷皇が関わっているとは思っていないらしい。

芹霞の目が、また喜悦と好奇心にきらきら輝いた。



嫌な予感しかしない。


61921人目って何だよ。


ぞろ目でもないし、別にラッキー要素なんてないじゃないか。


何でこんなに派手に盛り立てるんだよ。


何だよ、この…

安っぽくて怪しい青い魔法使い達。


何で紙吹雪が青一色なんだよ。

何でネームプレートなんてつけているんだよ。


『幸せの魔法使い(恋愛専用)☆』


胡散臭すぎる。


"レイクンだけの魔法使い☆"

『幸せの踊り子(煽り専用)☆』


同列じゃないか!!?


僕の心は猜疑心で一杯だ。


そして芹霞に渡される青い袋。


"ラッキーラブラブグッズ"


――あははははは~。


何より…卑猥な踊り子を送りつけて、狼狽する僕を喜ぶ氷皇なら。


この中身が、まともなものであるはずがない。


本能的に…芹霞の目に晒すのはやばい気がした。


僕はその袋を取り上げ、芹霞の手を逃れて…僕1人で青い"それ"を覗き見た。


「………」



やっぱり。


僕は深い溜息をつくと、再び封をして…近くのカップルににっこりと微笑みかけた。


「これ、あげます。

良き愛の時間をお過ごし下さい」



「えええええ!!!?」


芹霞の不満な声が響き渡る。

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