シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


ああ…


とうとう、来るべき時が来てしまったのかと…

無性に哀しく叫び出したい気分になった。


こんな時に。


こんな時だからこそなのか。


この狂気に満ちた景色の中で、芹霞さんの言葉だけが真実の光を放つというのなら、それは玲様や…私にとって、あまりに辛辣で残酷過ぎる現実だった。


私なんかより…

玲様の方が痛々しかった。


胸に左手をあて、ますます蹲った玲様。


片手は苦しみを示すかのように、地面を強く引っ掻いていた。


苦痛は…心に突き刺さり。

心臓の内から外から…痛みが玲様を蝕んだんだ。


落ち着かない心臓を薬で無理矢理押さえ込んでいる中で、芹霞さんの言葉はあまりに玲様の刺激に満ちすぎていたのだ。


玲様の元に駆け付けたかった私は…どうもがいても指1本動かすことが出来ない状態で、離れた距離から…やがてかたかたと身体を震わす玲様を見ているしか出来なくて。


その中で、行われたんだ。


――逝け。


悲劇。


櫂様の胸に…素手にて貫いた緋狭様の腕。


櫂様の体内に捻り込むようにして、容赦なく…空洞を作った。


漆黒色の景色に…櫂様の真紅色が鮮やかに…弧を描く。


櫂様が倒れ込む。


櫂様が…。


櫂様が…!!!
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