シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


だからこそ、私達は…動けなかったのもある。


思慕という人情と櫂様の覚悟。


その狭間で…私達は揺れた。


櫂様も…揺れた。


切り札を決行すること自体をさせたくなく、私達は我武者羅にきたけれど。


櫂様は――

逝ったんだ。


相手は、最強の…緋狭様で。


これ以上ないくらいに――

完膚無きまでに、櫂様の身体の生は絶たれた。


芹霞さんの絶叫が、それを物語っていた。



芹霞さんには、櫂様を感じ取れる。


それは紫堂の力にも似た…

――愛の力。


彼女が絶望を感じるのなら、間違いなく状況は絶望的。



櫂様は――


成し遂げられたんだ。


あんなに乞い求めていた芹霞さんの愛を得られるという間際に、その愛を取らずに逝った櫂様は、どんなにか無念なことだったであろう。


12年間も強く想い続けて、ようやく実るという瀬戸際。


櫂様は決行された。


彼の信条通り――


"完璧"に逝ったんだ。




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