シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

その時、芹霞の様子に気づけばよかったんだ。

だけど嫉妬に狂った僕は、自分のことに手一杯で。


どうしても僕との愛の証を拒むというのなら。

無理矢理にでも縛り付けてやる。


それは"僕"が目覚めた瞬間。

"僕"は店内を見た。


店内には…喧しいカップル。

欲しい女と、買えない男の群れ。

女の望み通りに出来ない男達は…女に愛想をつかれていく。


欲しいものを与えることで、男が"愛情"を得られるというのなら。

そんな簡単に、欲しい"愛情"が手に入るというのなら。



――何? もっと高い物が欲しいの? じゃあ強請(ねだ)ってみてよ、可愛く。



止まらない。



――君が欲しいものは何でも買って上げるよ? 世界で1つしかないものがいい? 買って上げるから…だから強請ってみてよ、僕だけに!!!



"僕"と僕の独占欲は止まらない。


僕には貰えない…芹霞からのプレゼント。


嫉妬が止まらない。


――僕といるのに、違う奴を考えるなッッ!!


それは願いであり、懇願であり…本心。


僕は真剣に"お試し"に賭けている。

片手間に"遊んで"いるわけじゃない。


真剣なんだ。


真剣故の怒声。


もう笑みなど浮かばない。

余裕なんてない。


僕は芹霞を手に入れたいんだ。

僕を愛して貰いたいんだ。


芹霞以外を愛したくない。

子供なんて欲しくない。


焦っていた。
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