シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 

「推測だけれど…機械というものは限度がある。0と1の組み合わせが無限にある電脳世界の力は、媒体たる機械を通せば、その機械(ハード)的能力によりその力は十分には発揮できない状況だ。


家庭用の機械とレグの機械、或いは紫堂玲の機械などは、発揮できる能力が元から違う。レグや紫堂玲のやらせている大容量のデータ処理を家庭用機器にやらせれば、許容量オーバーで使い物にならなくなるはずだ。


また機械は、"あらかじめ"作られたもので沿う形でしか起動できない。予定外の事象など発生することもなく、ERRORとて人間の想定の一部」


「ああ確かに久遠の言う通り…プログラムはERROR回避のものを先に組み込まないといけない。それがなければ、機械は…問題に差し当たった時、処理できずに動きを止めてしまう」


遠坂が頷く。


「電脳世界は純粋に"力"のみが蔓延る混沌たる世界なんだろう。それを制御して使いこなそうとすれば、こちら側の機械(ハード)なり、紫堂玲や由香みたいな特殊な人間の媒体が必要となる。

こう考えれば機械と人間の立場は同等のように思えるが、決定的に違うものがある。


1つは、先刻言った通り…機械は定まった"運命"が明確でそれに準じるが、人間にとっての"運命"は不明確で…"突然変異"も起こりえる点。それは個々の知性、思考が統一されていない為、あらゆる"摩擦"によって起る連鎖反応にも似ている。

そう言った意味で、確定要素が強い機械の"未来"は"有限"だが、不確定要素の強い人間の"未来"は"無限"の可能性があると言える。


ではもう1つ。機械と人間の違いは何だ、司狼」


突然話を振られた司狼は、ポテトチップスを貪りながら答える。


「動く、動かない…?」


「それは外側だけの問題だ。ロボットだって動くし、意味を拡げれば、機械内のプログラムによって何でも動くだろう、さっきのゲームみたいに」


「うっ…。話す、話さない…?」


「ああ、司狼。今はコンピュータも音声で話すよ? 片言だけれど…昔に比べたら大分マシ」


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