シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
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煌と桜ちゃんを残して、車はS.S.Aから遠ざかる。

折角会えたのに…もう2人と離れちゃうの?


そのことについて、玲くんは何も言わなかった。

まるで来た時と同じように、2人で居るのが当然というように運転席に乗り込み、笑顔で車を走らせたんだ。


何事もなかったかのように。


…やはりシフトレバーを、あたしごと握っているけれど。


「玲くん…煌と桜ちゃんと何話してたの?」


「ん? 煌と桜が色々動き回ってくれるというから、その打ち合わせ」


とりとめのない話をしていたかのように、玲くんは笑う。


"ケッコン"の単語は出てこない。


「随分長かったね」


あたしは、玲くんの声からも煌の声からも聞いているんだ。


"ケッコン"。


ねえ、どういうことか教えて?


「色々、打ち合わせしてたからね」


にっこり。


平然と…なんで笑えるの?

玲くんにとって…そんな程度のもの?


「せっかく煌とも桜ちゃんとも…会えたのに。また別れちゃうなんて。

そうだ、寝る場所とかどうするのかな。マンション…復活してないなら、仕事終わったら紫堂本家にきてくれるのかな。煌、判ってるのかな、神崎家…燃えちゃってること」


口に出すと、予定外の方面が色々本当に心配になってくる。

幾ら野犬とて、野宿させたくない。

しかもあの野犬だけではなく、桜ちゃんもいるんだから。


「玲くん、やっぱり合流して、そういうトコとかお話ししないと…」


あたしは、あの2人に玲くんを近くで支えて欲しいんだ。


仕事で飛び回るのは判るけれど、それでなくても気味悪いことが起っているのなら、皆で一緒に居るのが得策だと思う。


折角…再会したのなら、離れていたくないし。


今まで通り、4人で…そして行方不明の由香ちゃんも交えた5人全員で、一緒にいたいのに。


ホントウニゼンイン?

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