シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

芹霞ちゃんがどうするのって聞いたけれど、「引っこ抜くには必要なんだよ」って、笑うんだ。


引っこ抜くって何だろう?


大根?

おイモ?


イチルちゃんの家には、僕の苦手なお野菜が一杯なんだろうか。


そう聞いてみたら。


「ううん。お野菜じゃなく…"こびとさん"が出歩かないように」


さっぱり僕、判らないや。


「芹霞ちゃん、判る?」


物知り芹霞ちゃんに聞いてみたら…


「さっぱりあたしも判らないや」


だったら僕が判るはずないね。


イチルちゃんの家は、森の中にあって…7人のこびとさんと暮らしているんだろうか。


「じゃあ…イチルちゃんは…シンデレラ?」


僕が首を傾げると、


「カイカイ、それを言うなら白雪姫だよ。毒林檎食べちゃう奴」


イチルちゃんに笑われた。


ああそうか。


「"ままはは"っていうのに虐められる可哀相なお話だったよね」


何だか、泣きたくなって来ちゃった。


「可哀相って…だけど最後には、王子様が迎えにきて、幸せになったでしょう?」


芹霞ちゃんがそう言うから…思い出す。


「ああそうだったね。芹霞ちゃんみたいな格好良い王子様が迎えにきて、僕みたいな弱虫お姫様が幸せになるお話だったよね」


「櫂…シンデレラのお話!!!」


芹霞ちゃんが"めっ"としたけれど、その顔は怒っていない。


本当のことだものね。



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