シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

・伝言 煌Side

 煌Side
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「おいおい、冗談はよせよ?


何だよ、この変わり様は…」



思わず俺はぼやいた。




玲達と別れた俺達は、S.S.Aがあった西早稲田から、皇城家がある鎌倉ある神奈川目指して南下する途中…俺と桜が再会したという西新宿に立ち寄ることにした。


馬鹿でかい偃月刀は、何とか…ピアスに戻せたのはよかった。


これから一生、あんなデカイものを持って歩く羽目になるなんて冗談じゃねえ。


――あの惨劇現場がどうなっているか…確かめたい。


それは桜が言い出した。


玲曰く、Zodiacの曲が黄色い蝶と関係があるというのなら。


それによって惹起されたと思われる…目を抉るという残虐行為。

そして黄色い外套を纏った俺が、血色の薔薇の痣らしき人間の首を刎ねていたという行為。


あれだけ凄惨な現場がもしも日常風景に戻っているとなれば…それは死体が消えて、残虐な場面が消えているからだと桜は言った。


そして行き着いた西新宿は――

何も無かったかのように、静まり返っていた。



そこには死体はおろか、血痕もなく。


いつも通りの…普通の景色で。



もしもこの場所で、本当に殺戮が起きていたというのなら――


それは現実というよりは…


「夢…ではない」


桜が指指したのは、陥没。


渋谷でもライブ会場にも残された…

恐らくは、歌を歌う白い女達の墜落の名残。


そんな奇妙な陥没だけを残した西新宿。

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