シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
「ひいいいいいい!!!?」



芹霞が僕にしがみついた時、

それは突如起きたんだ。



落下する女達が、視界の中で上昇する。


磁力の反発力のように、強制的に弾かれるそれを――



「玲くん…何か出てきた!!!?」



まるで貫くが如く、APEXの建物自体を壊すが如く――

地面から急速に"生えた"のは黒い建物。


僕達の目の前で、凄まじい速度でそれは天高く伸びゆく。


重力に…自然の理に逆らうように。



「玲くん、下、下ッッッ!!!!」



地面が近付くに連れて、



「ぶつかる、ぶつかる、ぶつかるッッッ!!!」



芹霞が悲鳴を上げたから。


僕は外気功を地面に発し、その爆発力で重力を相殺した。


ふわりと少し舞い上がるようにして、三沢さんと共に無事に地面に着地したんだ。



芹霞と三沢さんは死にそうな顔をして、茫然自失。


僕は…目の前の黒い障害物を眺めた。


漆黒色に…走る真紅色。



間違いない。

これは黄幡会でも"約束の地(カナン)"でも見た、黒き塔の外壁。


"輝くトラペソヘドロン"



何でこんなものが、突然!!!?
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