シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
だとしたら――
「天使をモチーフにした、新しいアトラクションでも紹介してるのかな?」
「……そうだとしたら、久遠は"自虐趣味"だね」
玲くんは睨み付けるように、機械を見ている。
端麗な顔が強張っている。
玲くんの中では、"よからぬ"前触れのように感じているのだろうか。
少なくとも、この事態に好意的ではない。
「……ん?」
やがて、ざあざあと…電波が乱れ始め、声が届かなくなってきた。
「おや? あれ…音が消えたな。ということは映像も途切れたな? この機械が悪いのか…いや違うな。現地のカメラがおかしいな」
聞こえなくなってしまった音声。
機械の不調は…偶然?
不安だけが募っていく。
"約束の地(カナン)"で何が起っているの?
久遠達は無事なの?
久遠は強い。
強いけれど…万が一のことがある。
久遠は決して他人に頼らない。
だから――
SOSを決して発さないから。
駆け付けて、安否を確かめたい。
玲くんは翳った顔をしたまま動かない。
三沢さんが他局に切り換えたけれど…
「あれ…他局も駄目だな。音が出ない。ということは…この機械が悪いのか?
ん…此処だけは出るな」
突然飛び込んできた音声は。
『エコエコアザラク…』
『ぎょええええええ!!!』
「ひいいいいっっ!!!」
あたしは、思わずすてんと後ろに転がった。
ああ、やだわ。はしたない。
太股までずりあがったスカートはそそくさと直した。
見てないね?
というより、誰も見ようとしないよね。
あたしは、玲くんが不自然に目をそらしているのに気づかなかった。