シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「編集? あ…うん、この機械があれば…出来そうだ。いや出来るな。それにしてもこんなものまでヘリに積んであるのか」


「だったら…僕が言うレベルで、特定の音声を独立させて下さい」


玲くんはすくりと立ち上がり、未だ断末魔の叫びと不快過ぎる擬音語を放つ音声機器に近付いた。


あたしは耳を押さえて、

その場でガクガクブルブル。


玲くんに置いて行かれたくないけれど、あの近くに行くのは嫌だ。


妙な音に汚染されそうだ。


ホラー嫌い。

スプラッタ嫌い。


耳を押さえても、リアル擬音語は止らない。

むしろ加速する。


単発だった絶叫も雄叫びも、

今では斉唱(ユニゾン)だ。


何人食ってるんだ、変なモノ!!!


やがて…その音が止った。



「……?」



耳から手を離した時、

不意に玲くんの声が聞こえた。



「やっぱり…違う局の周波数がTXの周波数に紛れ込んでいるんだ。

そこ、もっと音声を大きく!!!」


来るのか、また恐怖の絶叫!!!


身構えたあたしの耳に届いたのは、



『蓮ッッッ!!!


皆を避難させろッッッッ!!!!』



久遠の…声だった。
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