シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
長剣を回転させ、腕の全体の動きでスクリーンを切り裂いていく。


何度も繰り返す動きなれど…

裂いた画面には映像が消えることなく、音楽すら止まず。


ボーカル音がないまま、同じ曲が延々と続いている。


久遠の苦悶の表情から、俺はまだ元凶のスクリーンを斬っていないことを悟る。



「……ぐっ……!!!」



久遠が詠唱中は守備力が落ちると言っていたが、それは本当のことだったらしい。



両耳に手をあて…彼らしくない"無様な四つん這い"になって、言葉にならぬ声を上げ始めた。


このままでは、本当に久遠が…



「…諸の法は…影と像の如し 清く…潔ければ…」


ああ、それなのに詠唱を続行するな、久遠!!


「仮にも…穢る…ること無し 説を取…らば…得べから…ず」


苦悶の震えが伝わってくる。


もしも先程とはまた別の音が久遠を苛んでいるのだとすれば、究極的には…地面で血を流して倒れている制裁者(アリス)のように、鼓膜や内耳が破壊されるのだろうか。


駄目だ。

させない。


音と映像をまず止めねば。


スクリーンに映ると言うことは、別場所に映像機械があるのかと…スクリーン正面を見ても何も無く。

無論裏にも何も無く。


しかもスクリーン自体の向きはバラバラで統一されておらず、どういった理屈で映像と音楽が流れているのかまるで判らない。


ああ、玲なら判るのだろうか。


瘴気を放ち、斬っても消えぬ映像。

斬った分だけ増え続けるスクリーン。


まるで堂々巡り。


あの中の…何処にあるのが、久遠を苦しませるものなんだ!!?
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