シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
――――――――――――――――――――――――――――……



それは――

唐突に起こったんだ。




「――…玲。

当主命令だ。

――結婚しろ」



突如当主の名で、施設から紫堂本家に呼び戻された僕は、会って早々…当主にそう言われた。



「結婚…?」



それはまるで予想だにしていなかったことで。

到底受け入れ難いことだった。


そしてそれが――



「相手は、皇城の娘だ」



政略的なものであれば尚更。


僕の顔は…拒絶に険しくなっていったと思う。



「玲、結婚しろ」



再度繰り返された、それは絶対命令。


当主の命令は、受けるのが筋だ。

逆らってはいけない。


かつて僕はそう習ってきた。

そのように振る舞い、だからこそ…どんな理不尽なことでも流されるように耐えてきたんだ。


今も・・・僕は、逆らわないでいる。

大人しく…"道具"として、されるがままでいるというのに。



これ以上――


僕をどうしたいの?



ねえ・・・。


幾ら何でも――

それはないだろう?



< 97 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop