シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
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それは――
唐突に起こったんだ。
「――…玲。
当主命令だ。
――結婚しろ」
突如当主の名で、施設から紫堂本家に呼び戻された僕は、会って早々…当主にそう言われた。
「結婚…?」
それはまるで予想だにしていなかったことで。
到底受け入れ難いことだった。
そしてそれが――
「相手は、皇城の娘だ」
政略的なものであれば尚更。
僕の顔は…拒絶に険しくなっていったと思う。
「玲、結婚しろ」
再度繰り返された、それは絶対命令。
当主の命令は、受けるのが筋だ。
逆らってはいけない。
かつて僕はそう習ってきた。
そのように振る舞い、だからこそ…どんな理不尽なことでも流されるように耐えてきたんだ。
今も・・・僕は、逆らわないでいる。
大人しく…"道具"として、されるがままでいるというのに。
これ以上――
僕をどうしたいの?
ねえ・・・。
幾ら何でも――
それはないだろう?