俺様専務とあたしの関係


電話が切れてから15分後、専務はあたしの家に来てくれた。


どこにいたのかは分からないけれど、かなりのスピードで車がやって来たのを見ると、急いでくれたんだと分かって、あたしの胸はキュンとした。


「美月!大丈夫か!?」


階段を駆け上がると、すぐにあたしを抱きしめてくれたのだった。


たった一度、初めて会った夜に送ってくれただけなのに、家を覚えていてくれて嬉しい…。


すっかりホッとしたあたしは、専務の胸に顔を埋める。


そしてそれからすぐ、専務は警察とアパートの管理会社に電話をしてくれたのだった。


この行動力、さすがだな…。


やっぱり、若くして専務になれるだけあるわ。



どうやら、警察の見立てでは、近所で連続して起きている下着泥棒だろうとの事。


ただ、やり口がエスカレートしているから、これからも注意をした方がいいと言われたのだった。


「やっぱり、女の一人暮らしは物騒だな?」


一段落着き、やっと落ち着いてきた頃、専務はあたしの顔を見ると言った。


「はい…」


鍵の修理はすぐに出来ないみたいだし、今夜はどうしよう…。


そんな心配を抱えつつ、専務を巻き添えにした事に、申し訳なさが募ってくる。


「あの、専務。本当にありがとうございました。もう大丈夫ですから」


あたしは素直に頭を下げた。


もう帰ってもらわなきゃ。




< 58 / 194 >

この作品をシェア

pagetop