偽恋
「美姫ってば、夏バテはまだ早いよ!」

「え~?」

「聞いてなかったの?夏休みに、1学年で勉強合宿があること!!」

「聞いてない!!!なにそれっ」



...嘘でしょ!?


夏休みまで勉強するのぉ~?


まぁ確かに...1学期の成績は悪かったけどさ



優斗に教えてもらうからいいのに...。



「1泊2日で勉強メインの合宿だってさ」


「嘘...。行きたくない~」

「うちのクラスは期末で最下位だったから、強制らしいよ」

「え~!嫌だ!」


...ってことは、もしかしたら優斗行かないんだよね?


えぇ...嫌だよーう。



あたしががっくり肩を落としたとき。


「きゃあ~!」


そんな女子の悲鳴が聞こえて、あたしは廊下に目をやった。



すると「美姫かえんぞ」


ムスッとした顔の優斗が立っていた。


...うわ、やばいっ。


優斗...怒ってる!!


あたしは「まっまたメールするね!」と奈々にそういって


急いで優斗に駆け寄った。


「ごっごめんね!」


そして慌てて優斗の顔を見上げた。


けど優斗はそっぽを向いていて、目を合わせてくれない。


「ごめん...優斗」

あたしがしゅんと肩を落とすと


「美姫は悪くない。女がうるせぇだけ」


そうキッパリ言って、あたしの手をグイッと引っ張った。


それだけで、また

「きゃあっ」と悲鳴が起こって...


あたしは優斗に連れられるまま、学校を後にした。
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