白緑蝶"vacances【続2】
姉が言うには、もともと姉が
花屋さんを始めたきっかけは
私達の環境があったからこそ。

「まともな環境で両親が揃って
 何不自由なく育っていたら
 花屋さんを持とうだなんて
 思わなかったかもしれない」

「そんなことないよ
 
 あのお店は、おねえちゃんの
 夢、そのものでしょう?

 それが無くなっちゃって
 おねえちゃん

 本当にいいの?」

「いいよ」

あっさりとそう答える姉に私は
驚くしかない。

「だって、今の私にもヒワにも
 他に守りたいもの、築きたい
 夢があるでしょう?
 
 そう幸せな家族、家族が笑い
 合って安らげる場所を作って
 あげたい

 現に、二人とも甲斐性のある
 旦那様に恵まれて家庭は円満
 
 無理して働かなくても十分に
 暮らして行けるもの

 無理してお店を続けること
 ないよね?」

「そうだけど、苫さんやバイト
 のみんなには、あの店で働く
 意味があるでしょう?

 勝手に辞めて、いいの?」
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