白緑蝶"vacances【続2】
熱いシャワーに打たれながら
膝を抱え声を殺し、涙を流す。

「ヒック、ヒック」

私は、頭からシャワーを浴びる

浴槽の鏡は曇っていて、私の姿
を映さない。

「よかった」

こんな、惨めな私を映さないで

脱衣所で、着替えを終えた私は
濡れた髪をタオルで拭きながら
ソラの元へ。

貴方は、黒いトレンチコートを
羽織る。

「ユラ、おまえは
 ゆっくりしていくといい」

グサッ・・・

いつもの言葉

聞き飽きた言葉

「そのつもり・・・」

ほらっ、だから言ったでしょう

警告音を無視すれば、こうして
また、ひとつ傷を負う。

傷跡は、どんどん深くなる。

「ユラ、連絡する」

バタン・・・

扉は、音を立てて閉まる。

その音は、私の胸を締め付ける
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