ケモノ女が愛するオトコ〜草食男子の扱い方〜


――その日の昼休み。

「……勇気…」

俺と千歳は、また地下倉庫にいた。

彼女が俺をここに呼び出す理由は分かっている。

だけど…拒み切れない弱い自分がいる。
何故なら俺も彼女と同じ気持ちなのだから。

繰り返し甘く触れ合う唇から、互いの思いを伝え合う。

「……札幌……、決まったんだ」

キスの合間に彼女に伝える。

「……は」

彼女はパッと唇を離し俺を見上げた。

濡れた艶めかしい唇に再び俺が唇を近付けると、千歳は俺の身体を両手で押した。

「……千歳…?」

「札幌……ですって?
……嘘でしょ?」

…やっぱり、……反対か。

「……行けば多少の出世が望めるよ。
今のままじゃ…心もとないからね」





< 86 / 146 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop