片翼の天使たち~fastlove~

__初めての想い__






やば……。


授業がすべて終わり、私はケータイを開く。



ありえないほどのメール件数…。ここ5時間の間になにがあったの、美羽…。
120件ものメールは全部、美羽からだった。




さすがに怖いって……。
1つ1つ確認していくと、内容は全部同じ。




__“特進クラス行ったの!?”




そればかり。


そりゃ、ばれるよね。
学校行ってなきゃ。すぐに美羽にバレテしまうのは分かってた。

それでも私がギリギリまで言わなかったのは、余裕がなかったからだ。




仕方ない。
遥翔に事情説明して、今日は美羽と話そ…。




生徒会室の前で立ち止まり、少しドキドキしながら指紋認証システムに指をかざす。
さっき遥翔に私でも鍵が開けられるようにしてもらったんだ。




すぐにドアは自動で開いて、中に入る。
すると中から聞こえる、なんとも賑やかな声。




「利一、それ反則!」

「トランプに反則もなにもねーよ♪」




ドアを開けると、みんなでトランプをして楽しんでいるようだった。




…ここは仮にも生徒会室。

私、頭可笑しくなったのかも。いつもならイラッとくるのに、なぜか笑えた。



「おー、桜羅じゃん!」



透くんが私に気づき大声をだすと、みんなの視線が集まった。




「桜羅もやるか?」

「遠慮しとくよ」



ひなたに誘われたけど、私はカバンを置いてソファーに座った。



トランプを楽しむ透くんと利一とひなた。机の上でなにか必死に書いてる遥翔。
1人、ベットで気持ちよさそうに眠っている唯。



ここのメンバーはみんな個性派だ。





私はフッと笑ってから、遥翔の横に立つ。
でも、すごく真剣なのか、遥翔は全く私に気づかない。


ちょっと悪戯心が芽生えた私、遥翔の背後に回って脇腹をくすぐった。




「__っ!?」

「あははっ!!」



遥翔は、それこそ声には出さなかったものの、悔しそうに、だけど笑いながら私を睨むように見ていた。




「笑うんじゃねぇよ、サクラの分際で」

「どんな分際よ」



声を出して笑ったのは、何年振りだろう……。
本当に久しぶりだった。




…はずなのに、びっくりするくらい自然に笑えた。



< 19 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop