ショコラ~愛することが出来ない女~
12 彼の事情

 庄司くんと再び会ったのは、詩子に報告した翌日の夜だ。
取材の山登りから帰宅するとすぐ家にやってきて、強引とも言えるほどの勢いで私をベッドへ押し倒した。


 「……っ、はあ」


刺激とともに飛び出る荒い呼吸。
覆いかぶさりながら庄司くんが息を漏らす姿は扇情的で、体の中から欲情が芽吹きだす。


「会いたかったよ、康子さん」

「ん」

「康子さん」


何度も呼ばれる名前、情熱的な愛撫。
彼から与えられるものに、私の体も熱を帯びる。
いつもより激しい行為は、会えなかった寂しさからか、それとも疑念からか。


「今度、俺も、はあ、ちゃんと報告してくるから」

「うん」


それは行為中に言わなくても良いと思うのだけどね。

少しだけ冷めてしまったことが口惜しい。
それでもまあ満足のいくほどの快感を感じて、コトを終える。


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