咲き舞う華は刻に散る


「俺は新選組の…、近藤さんのために鬼になるって決めたんだ…」



土方は近藤を慕い、彼をてっぺんに押し上げようとしている。



そのために土方は隊士や自分を厳しく取り締まり、いつの間にか『鬼の副長』という異名がつけられていた。



だが、美桜里は知っていた。



本当は彼は優しい人なのだと…。



「俺は間違ってるのかよ、山南さん…」




土方の悲痛な声の中に嗚咽が漏れ始めた。



美桜里は彼の背中に寄り掛かりながら、笛を吹き続けた。



彼の哀しみを笛の音に乗せて、和らげるかのように――。







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