咲き舞う華は刻に散る


しばらくした頃。



美桜里が健康診断を受けていた個室には人だかりが出来ていた。



部屋の真ん中にはボコボコに殴られた永倉がいる。



彼の手元には血で『美桜里』と書いてある。



「だから、言ったじゃねぇか。止めとけって」



原田はそんな永倉を憐れみの眼差しで見ている。



「馬鹿だよね、新八さんって…」



藤堂は指でぴくりとも動かない永倉を突っつく。



「まったく、コイツは阿呆だな」



あまりの騒ぎに仕事をしていた土方まで駆け付けていた。



「…んで、美桜里はどうした?」



土方は隊士に永倉を医務室に運ぶように命じ、美桜里の居場所を尋ねた。



「多分、境内にいるんじゃない?」



「そうか。しばらくはあいつに近付かねぇ方が良さそうだな」



「「同感」」



土方の言葉に藤堂と原田は頷くと、隊士に運ばれていく永倉を見ていた。






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