彼女の残したもの・・・
第5章 再会
僕のバイトは、中華料理店の皿洗いをしていた。

ある晩遅く、自転車で近道の繁華街を抜けようとしている時だった。

酔客を見送るキャバレーのホステスの中に見覚えのある顔を見つけた。

「あやの?」

言いかけて押し黙った。

あれは確かにあやのだった。

僕は声を掛けそびれて、自転車を扱ぎ始めていた。

それから2ヵ月経とうとした頃、バイトが終わり、着替えていると先輩が、
「シンゴ、お前、知ってるよな?」

「はぁ、何をですか?」

怪訝そうな顔の僕に先輩は声を殺して言った、
「女だよ、女」

僕は高校2年の頃、ひとつ年上のテニス部の先輩と済ませてはいたが、その後は、一応受験生ということもあり、彼女は作らなかった。

「よし!給料が入ったし、今日はいいとこ連れて行ってやるよ」
気乗りしない僕を無理やり先輩は手を引いて行った。

2ヵ月前、あやのを見かけたあの店に・・・
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