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京介のお家


京介は、慣れた手で、暗証番号を打ち込み、

マンションの玄関を開ける。

…頭、また痛くなってきた。

「…もうすぐだ」

エレベーターに乗り込むと、京介は最上階の

ボタンを押した。

…最上階なの?

「…大丈夫か?」

「う…うん…」

フラフラしてきた…

フラフラしてきたあたしを、京介が支えてく

れる。

「…ごめんね」

「…気にすんな」

最上階で、エレベーターが止まると、あたし

を支えながら歩いていく京介。

部屋の鍵を開けると、バタバタと足音が聞こ

えて、人が来た。

「橘!!」

「…はる君?」

「熱なんだろ!?早くベッド行け」

いつもよりきつい口調のはる君。

あ…そう言えば、京介の両親は?

「京介、ご両親は…?」

「いねぇよ。一人暮らし」

「そうなの!?」

こんなに大きな家に!?

てか、なぜはる君がいるの?

玄関、閉まってたよね!?

というより…みんな、学校は!?

「質問とか、疑問とかいっぱいあると思うけ

ど、あとで答えるから。とにかく今は、ゆっ

くり寝てね。京介に、振り回されて、疲れた

でしょ?」

口調が戻ったはる君に、ベッドに寝かされ、

布団をかけられた。
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