失恋夢
そこには先輩によく似た女が、なぜか怒っているかのような表情でこちらを見ている。


どちらかというと、怒りたいのはこちらの方なのだが....

なぜ背中を押した方が不機嫌そうな顔をしているのだろうか?


「おい....」

その低音で透き通ったような綺麗な声が辺りに響く。


少し間を開けて返事をしてみる。

「何?」


その返事を聞くと奇抜な髪形の女は何か勘に触ったらしく、さらに表情を曇らせる。

何がいけなかったのか皆目見当もつかないが、次の一声を聞かない限りこれ以上の言葉を返せない。

次にどんな言葉が出てくるのかを想像しながら、女の顔をジッと見つめる。



こう見ると吸い込まれそうになる紅色の瞳が一番にているな....

なんて全く関係の無いことに考えが向いてしまう。


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