【完】最初で最後の恋

募る不安

ガラッと開けた病室のドア。
「瞬♪おはよう」
「…奈央か。おは…よ」
苦しそうに笑う、瞬。
あたしは前のように…
瞬をギュッと抱きしめる。
「…すげぇ、安心する」
あたしの背中に回る、細くなってしまった腕。
「っ、……ん」
――最近、瞬の病気が悪化してきた。
毎日が、怖い。
毎日が、不安でならない。
最近、検査も増えた。
「あ、そろそろ検査の時間だ」
「そか。頑張って」
あたしは瞬にキスをする。
「行ってくる」
そう行って、瞬は病室を出ていった。
瞬がいなくなり、静かになった病室。
「…っ、瞬……」
あたしの声が、静かに……


響いた――……。
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