黒木健蔵の冒険
そんなこんなで、かれこれ2ヵ月ばかりが過ぎたある日のことだった。


「絹さん、おじい様、どこか、お出かけになったの?」


大学の前期試験も終わり、10日ぶりに、里奈は健蔵を訪ねた。


「大旦那様は、朝早くにお出かけになりました」


家政婦の田村絹代は、キッチンでジャガイモの皮をむく手を止めて言った。


「朝早く?まぁ、こんな時間に何の用事があるのかしら?絹代さん、どこに行かれたか、ご存知ない?」



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