悠久の祈り -春宵夢想-
「あら、涼ちゃんに歳さん。今帰り?」
家の敷居を潜ろうとしたら、隣に住む八重子さんに声をかけられた。
彼女は旦那さんを亡くしてから、一人で暮らしている。
息子さんが一人居るらしいけど、一度も会った事がない。
八重子さんは50歳を過ぎているにも関わらず、元気でよく喋る人だ。
私も彼もよく長話に付き合わされていた。
でも、何かと気遣ってくれて、よくおすそ分けもくれる。
だから、長話に付き合わされても、嫌とも何とも思わない。