鈍感王子にご注意を

「あ゛...そうだね...。
タクシーでも乗る?」

「え゛!?そっそんなのいいから...
駅まであるこ?」

「...うん。」

誠くんは、最近大学に
通いながらバイトを始めた。
私とデートするたび
プレゼントを買ったり暗くなると
タクシーに乗せてくれたりする。
嬉しいけど...時々胸が痛くなる。

電車はすごく混んでいた。
でも1つだけ席が開いていた。

「恵美ちゃん、座んなよ。」

誠くんは余った席を指差している。

「ううん。いっいいよ。」

「恵美ちゃん足痛いでしょ?
ヒール高いからずっと立ってたら
余計疲れるし。ほら、座って座って。」

強引に私は席に座らせられた。
誠くんは私の前で立ってにっこり
笑っている。

「...誠くん、やっぱりいいよ。」

私は、立って近くにいた子供に
席をゆずった。

「何で!?」

誠くんは、不思議そうに私を
見つめている。

「今日は、勝手にヒールを私が
はいてきたんだもん...。
だから私も立ってるよ。」

私はそう言って髪を耳にかけた。

「そっか.....。」

誠くんはただにっこり笑っていた。
誠くんはすごく優しくて...
大好き。

だけど...誠くんはまだ気づかない。
私の事を誠くんはじっと見つめて
微笑んでくれる。
けど...誠くんは気づかない。
< 2 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop