最愛のあなたに
□第一章



「菜々美、こちらは米沢和明(よねざわかずあき)さん」


「こんにちは、菜々美さん。米沢と申します。よろしくお願いします」


「あらいやだ、もうすぐ夫婦になるんだからそんなに固くなさらないで。ねえ、菜々美?」


「…え、ええ。こちらこそよろしくお願いします。和明さん」


私の言葉を聞いてニコリと品のいい笑みを浮かべた彼を見て考える。


(どうしてこんなことになったんだっけ………?)


思えばここ最近の母はおかしかった気がする。


いきなり含み笑いを始めたり、口笛を吹いたりスキップしたり…


とにかく無駄に上機嫌だったのだ。


(その原因はコレだったか…)


コレ………そうつまりお見合い。



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