悪魔のようなアナタ ~with.Reiji~




<side.玲士>



灯里の乗った新幹線がしだいに見えなくなっていく。

玲士はホームの椅子にどさっと座り、片手で目元を覆った。

――――灯里からの初めてのキス。

温かい感触が、まるで幻のように思える。


灯里を行かせたくない。

離したくない。


もしあのまま灯里を抱きしめて、マンションに連れて帰れたらどんなにいいだろう。

この3日間は玲士にとっては天国のように思えた。

けれど今は、天国から突然地獄に突き落とされた気分だ。


――――こんな気分を、これからずっと味わうのだろうか?


「……っ、灯里……」


予想もしないタイミングで走り始めてしまった恋。

3日前に灯里を帰していたら、ここまで悩みはしなかっただろう。

けれど二人はあの夜、戻れないところまでいってしまった。

灯里の躰を開き、奪い、愛を刻み……。

――――もう、灯里以外何も見えない。


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