愛を教えて ―番外編―
クリスマス直前、いつもなら大掃除に忙しくしている時期だ。しかし、今年はその必要がなく……。万里子は目下、新婚旅行の順備に奔走していた。

そんなとき、不意に卓巳にデートに誘われたのである。


「スイートでお食事ですか?」

「それもいいが……たまには店で食べてもいいだろう? フレンチの個室を予約しておいた」

「でも……クリスマスはまだ先ですし。どうしてこんな時期に?」

「夫婦がデートするのに理由がいるのかい?」


そう言って卓巳はご機嫌である。

万里子にはさっぱりわからなかったが……。


「いえ、卓巳さんと一緒なら、わたしはどこにでもお供いたします」


ニコッと笑って答える万里子を見て、更にご機嫌になる卓巳だった。



デートの当日、いつものホテルのレストランで食事を終えたあと、自宅には戻らずふたりはスイートで寛いでいた。

しばらくすると、ホテルの従業員が部屋を訪れ、


「お待たせいたしました、藤原様。準備が整いました。いつでもお越しいただけますよう、ご案内に参りました」

「ああ。じゃあ、行こうか、万里子」


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