愛を教えて ―番外編―
「あ、ああ、そうだね。ま、万里子、最近ますますキレイになったんじゃないか? 髪を切ったのかな?」

「え? ええ、五センチほど」

「やっぱりそうか! とってもよく似合うと思っていたんだ!」

「……新婚旅行に行く前ですけれど……」

「……ロ、ロンドンでも、ずっと、そう思ってたんだ。うん!」


万里子は薄らと頬を染め、


「あの、卓巳さん、ひょっとして」

「すまない。まだ仕事なんだ。この先は今夜話そう。そ、それでいいだろう?」

「はい。――卓巳さん。あの……卓巳さんは丈夫で長持ちで、とっても素敵です」


はにかみながら、万里子は小さな声で「いってらっしゃいませ」と言い、頭を下げた。


途端にご機嫌になる卓巳であった。




                            ~fin~


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