愛を教えて ―番外編―
万里子は万里子で娘が授からないことを気にしていた。

そんな彼女に卓巳は『美馬に倣って、もっと若い女性を探すとしよう』と。言うにこと欠いて、愛実と比べたのだ。

万里子でなければ、もっと若い女性なら、自分に娘を与えてくれるのに……万里子の耳にはそんなふうに聞こえた。



「考えすぎですよ。卓巳様にそこまでの思惑はありませんて。単なるヤキモチじゃないんですか?」


雪音の言葉もわからないではない。

本当を言うと、万里子もわかっているのだ。なんと言っても、卓巳には自分しか……。


「あんまり冷たくすると、さすがの卓巳様でも浮気しちゃうかも知れませんよ」

「まさか! 卓巳さんに限って。あの人には……わたしだけだもの」

「でも、結婚八年でしょう? だいぶアッチも慣れてきて、目移りする時期かも。それに、完全復活してるかどうか、試してみたくなったり? だって、四十の大台に乗っちゃうと、落ちてくるだろうし。今なら男盛りって言いますもんねぇ」


雪音の言葉に万里子はドキンとした。

あの卓巳が万里子以外の女性と、なんて……。


「えっと……ちょっと、見に行ってみようかしら。その……愛実さんだけに任せるのも悪いし……」



急にそわそわして立ち上がる万里子を見て、雪音はクスッと笑った。


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