愛を教えて ―番外編―
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預かってもらっていた忍を引き取り、愛実は幼稚園の駐車場で待つ藤臣たちのもとに急いだ。大型の国産ワゴン車が一台。運転席に藤臣が座り、助手席に乗った北斗が懸命に身振り手振りで父親に話しかけている。

そこはかつて愛実の指定席だった。でも今は子供たちに取られ、愛実は娘をベビーシートに乗せ、その隣と決まっていた。


(北斗の次は……しーちゃんに取られちゃうのかな)


ちょっとだけ残念に思いつつ、車に駆け寄る愛実だった。



「ママ! パパが遊園地に行こうって!」


スライドドアを開けるなり、北斗が叫んだ。


「え? でも、もう三時回ってるのよ」

「夜十時までやってるだろう? 明日は学校も休みなんだ。こんなときでもなきゃ、遊びには行けない。晩飯は向こうで食べればいいさ」

「でも……あ、じゃあ、ママとしーちゃんを家に下ろしてから行って来たらいいわ」


同居している先代社長の妻、弥生のことを考えた。昼食は任せてきたが、夕食の準備をしてそれ以外にも色々手伝わなければならない。簡単に外食などできないのだ。

せっかく喜んでいる子供たちをがっかりさせないように、愛実は妥協案を口にした。

しかし、藤臣から返ってきた言葉は……。


「ばあさんのことなら心配はいらない。新しいヘルパーを雇って、君の分も見てくれるように頼んできた。ただ、一旦家には戻ろう。外泊の用意をして行かなきゃな。明日は朝から一日遊べるぞ!」


藤臣の言葉に大地と北斗は大騒ぎだ。愛実は唖然としつつ、仕事はいいのだろうか? と考えていた。


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