愛を教えて ―背徳の秘書―
最初の夜、あえて一夜限りとも、遊びだとも言わなかった。

そして、そのあとは当然のような顔をして雪音の身体に触れ、藤原家の離れに泊まるたびに彼女を部屋に連れ込んだ。

意地っ張りの雪音のことだ。宗が距離を取ったら、自分からは決して近づいては来ないだろう。それがわかるだけに、ふと気づけば、宗のほうから必死になって彼女を追いかけていた。


雪音の長い髪にキスして腰を引き寄せた。後ろから、思い切り抱き締める。


「宗さん、痛いわ」

「いい加減、名前にしないか?」

「だって……」


宗のことをなかなか『ユキオミ』と呼んでくれない。

理由は……。


「“ユキ”って呼ぶのはいやなの! 静香もそう呼んでたし、他の女にもそう呼ばれてたんでしょ? 第一、私だって“ユキ”だもの」

「じゃあずっと苗字なわけ?」


宗は少し屈み込み、雪音の頬に口を寄せて尋ねた。すると、雪音は見る間に真っ赤になり、宗に答えたのだ。


「……オミくんって呼んでいい?」


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