愛を教えて ―背徳の秘書―
薫は京佳から、宗との関係を聞かされた。

宗が薫を断わった理由は年齢ではなく、容姿に違いない。彼女はそう思い込んでしまう。


それでも薫は必死で我慢する。京佳を応援することで、自尊心を満たそうとした。自分はなんて健気なのだろう、親友と好きな人の幸福を祈っているのだから、と。

ところが、だ。突然、京佳から宗にフラれたと聞かされた。

その後、京佳は社長室の前で立ち聞きした、と朝美の妊娠を薫に伝えたのである。


『仕方ないわ。もう、諦めるから』


当の京佳は実にあっさりしたものだ。

だが、薫は許せなかった。京佳を騙した宗が、そして、自分に嘘をついた男が……どうしても許せなくなり、色々調べてしまったのだ。


そして彼女は、香織と雪音の存在を知る。


香織と雪音は別れさせるだけで充分だ。だが朝美は違う。子供がいたら、宗は朝美のモノになる。

バッグを引っ張ると、朝美は面白いほど見事に階段の一番下まで転がり落ちた。流産は間違いないだろう。

薫は嬉々として京佳に話した。


< 128 / 169 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop