愛を教えて ―背徳の秘書―
「言うねぇ~。でも、三十五歳のサラリーマン平均年収以上はあるぜ」

「それ以前に、今まであんなにもらいながら、ほとんど残ってないって言うのが不思議よ。結婚したら、そうはいかないからねっ」

「……はい」


雪音は散財するほうではない。

彼女の貯金が今ほとんどないのは、去年まで男に貢いでいたからだ。男に勝手に使われたカードローンも残っていたが、それはこの一年でほとんど払い終えた。

宗は立て替えると言ったが……雪音は断って、自分の給料から払い切る。

それは彼女にとってケジメだった。


「きゃっ」 


口では敵わないと思ったのか、宗はお湯の中で雪音の肌に触れてきた。スッと腰を掴まれ、気がつけば、雪音はあぐらを組んだ宗の膝の上にいた。


「もうっ! 人が入ってきたら……どう……あっ」


背後から胸を鷲づかみにされ、それでいて、ゆっくりと優しい動作で揉まれる。肩口からうなじにかけて、宗の唇が触れ……。耳たぶを甘く噛まれたときは、とうとう堪え切れず、露天風呂内に雪音の声が響いた。


「こらこらお嬢さん、大きな声を出すと聞かれるよ」


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