愛を教えて ―背徳の秘書―
宗の言葉に香織の顔はパッと輝いた。


「あの女、また階段から落ちたの? きっと天罰ね。こんな写真を撮って嫌がらせするから、バチが当たったのよ。ねぇ、子供は? 流産したのなら、あなたも結婚しなくて済むんでしょ? また前みたいに私とも付き合って……」


香織は再び宗に抱きついた。

今度は多少の力では離れない。女相手に乱暴な真似もできず、……。そのまま引き摺り込まれるように、床に押し倒された。


「香織……いい加減にしてくれ。お前が欲しいのは俺じゃなくて、結婚してくれる男なんだろう?」

「あなたも、なの?」

「はぁ?」

「あなたも、若い女がいいのね。あの人もそうだったわ。結婚してしばらくすると、私が年上なことを嫌がり始めて。見た目は若いけど、やっぱり歳は歳だ、なんて!」


(それを俺に言われても……)


思わず声にしそうになる。

だが、ここで口を挟めば別れた亭主に対する怒りは、宗に向かうだろう。グッと我慢して口を閉じたまま、宗は香織の愚痴を聞き続けた。


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