恋の魔法。
過去






―――…







残暑が厳しい季節。






夏休みも終わり
新学期が始まって
1週間ほど経った。










「咲哉おっはー」

「…おう」

「んだよ元気ねえなー。
あ、七瀬さんか…」

「わり。
オレ屋上行くから」

「あ、おい…」















そう。



あの日から由梨とは
まともに話せてない。









あれから由梨のことが
気になって
夏休み中も何度か
家に行ってみたけど、
由梨は出てきて
くれなかった。





由梨の母ちゃんも
由梨の中の何かを
感じとっているのか、
オレが来るといつも
困った笑顔で
申し訳なさそうにしていた。











それでも夏休みが明けたら
教室で会うことができる。





そしたらまた1学期のように
話せると思ってた。













< 55 / 157 >

この作品をシェア

pagetop