FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
助けに行こうとはした。
 
だが、分身してもなお、ヴァジュラの力は強大で、すぐにここから離れる事は出来なかった。



 
『光が、また消える……』
 
フォーチュンは、ヴァジュラと戦う蓮を見ていた。

『運命は、同じ道を辿る……』
 
そう、彼女の見た未来と同じく。



 
ヴァジュラの真っ白な手は僅かな反撃も許さず、勢い良く蓮の体を貫いた。

「これで、2人目……」
 
ヴァジュラはニイッと唇の端を上げると、陽炎のように揺らめいて消えた。
 
蓮は声もなく崩れた。
 
ドサリ、と重い音を立てて倒れる。




時間がゆっくりと流れて。

“蓮”は、目を開けた。

「……?」
 
今、確かにヴァジュラに体を貫かれたと、思ったのだが。
 
ゆっくりと身を起こす。そして目に入ったもの。
 
手のひらに収まるくらいの、白い、人型をした紙。その紙は、ちょうど胸のところにぽっかりと、穴が開いていた。
 
蓮は目を見開く。
 
そして、勢い良く走り出した。

「紅葉!!」
 
そう、叫んで。

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