平凡太~ヘイボンタ~の恋
「でも…」


「きっと一過性のモノさ。台風みたいに去ってしまえば、後は何も残りやしない。恋じゃなく、ただの思い込みなんですよ」


「あたし…もう平太くんを縛れない…」


「なら、ボクが望むよ。一華先輩の…一華先輩と詞音ちゃんの傍にいさせてください」


「平太…くん…?」


「ボクが決めたんです。『友詞』になる『パパ』になる。だから終わりじゃないんです。ボクは『友詞』をやめません」


「だって…あたし…!」


「栞の事はちゃんとします。一華先輩はボクの“ココ”にいてください」


そう言ってボクは一華先輩を抱き締めた。


霧のような雨が落ちる空。


濡れていく一華先輩の髪から香る匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
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