平凡太~ヘイボンタ~の恋
「びどいよ、ね。詞音を利用して平太くんを…」


「一華先輩」


「ん…?」


「詞音ちゃんを利用してなんかない。うまく言えないけど…そんな風には思ってほしくないです」


「うん…アリガト…。でも事実なの。『友詞』を押しつけて平太くんを縛ってた」


「ボクが望んじゃいけませんか?」


「平太くんの…望み…?」


「ハイ。ボクは代理でいい。守るなんて偉そうな事は言えませんけど、ボクは『友詞』として『パパ』として、一華先輩と詞音ちゃんの傍にいたいんです」


「うん…。でも、ね。あたし、見えなくなってきちゃったんだ」


「何が?」


「友詞をね、思い出そうとするの。けれど、詞音に笑いかける友詞は見た事がなかったし、詞音を抱き締める友詞もあたしは知らない。生きてたらどんな風に詞音と向き合ってたのかな、って、想像するんだけどできないの」


「そう…ですか…」
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