改良版 うしろの正面だあれ
クスクスと、わざとらしい嘲笑があちこちから聞こえる。
「だっさ~い!」
「早く拾えよのろま!」
浴びせられた罵声は、彼の皮膚を熱くさせた。
耳を真っ赤にさせながら、拾ったバトンを持って走り出す。
走るのがとても苦手な彼は、風のようには走れない。
「ほんと亀だな!」
「本物の亀より遅いんじゃな~い?」
息を切らして渡すバトンを、第三走者の少女はまるで汚い物でも触るように受け取った。
フン!と鼻を鳴らして駆け出す。
その後ろ姿を、少年は息を整えながら重い表情で見ていた。